Helix One Mk3

Helix One Mk3 オーレリアン・ゴールド

Helix One mk3は、Dohmann Audioの最新の技術を結集させたツインアーム対応のターンテーブルです。

フィロソフィー

レコードの溝をカートリッジの針が通過する際、振動エネルギーは電気信号へと変換されます。溝の形状やカッティングには膨大な情報が含まれており、高品質なアナログ音楽システムの理想は、この情報を可能な限り正確に読み取ることです。そのためには、スタイラスが「溝との接触によって生じる振動」以外の振動エネルギーや共振の影響を受けない環境で動作する必要があります。
しかし実際にはターンテーブル・システム内には様々なエネルギーが伝播しており、スタイラスは本来読み取るべき溝の振動に加え、それ以外の振動も拾ってしまいます。こうした不要なエネルギーは、歪み、音の輪郭の曖昧さ、付加的な倍音、チャンネル間のアンバランス感といった形で音に現れます。これらは録音に含まれる微細な表現を隠してしまい、音楽に不要な色付けを加えたりする原因となります。

高品質なターンテーブルを設計する第一歩は、不要なエネルギーの発生源と、それがシステム内をどのように伝播するかを綿密に測定することです。Dohmann Audioでは、高度な測定機器を駆使し、一般的なターンテーブル設計における共振特性を厖大な時間かけて測定してきました。ターンテーブルの性能を向上させるには、まず共振がどこで発生し、どのように振る舞うかを正確に理解する必要があるからです。
共振の原因はターンテーブルの機械的システム(モーター、ベアリング、プラッターなど)、設置環境(建物、床、音波など)、そして電気的システム(電源、制御回路など)の各所に存在することが知られています。さらに、ターンテーブルは一種の物理的な「エコシステム(生態系)」として機能しており、共振が様々な部品間を移動し、互いに干渉し合っていることも分かりました。また、レコード盤そのものがこれらのエネルギーとどのように相互作用するかについても、Dohmann Audioの研究で突き止めることができました。

こうした知見を得た上で、次の目標となったのは、共振の発生源を最小限に抑え、ターンテーブル全体への伝播を遮断する方法を見つけることでした。開発の過程で、多くのターンテーブル・メーカーが長年採用してきた解決策が、実際にはそれほど効果的ではなく、場合によっては新たな問題を引き起こしていることさえあると分かりました。
ターンテーブルの音響性能を大幅に向上させるには、従来のターンテーブルメーカーが採用してきた手法や技術の枠を超えて考える必要がありました。

このアプローチこそが、Dohmann Audio(ドーマン・オーディオ)を他のターンテーブルメーカーと一線を画すものにしている核心です。Mark Dohmannは、同様の課題を抱える他の業界に目を向け、それらがどのように問題を解決しているかを調査しました。
例えば、研究室の電子顕微鏡は、微小な振動があるだけでも正確に動作しません。顕微鏡をどのように振動から隔離しているのでしょうか?戦闘機メーカーは、音速の壁を突破する際の振動エネルギーにどう対処しているのでしょうか?NASAのエンジニアは、衛星内の精密機器を強力な共振エネルギーからどのように隔離・保護しているのでしょうか?あるいは、鉱山の坑道のような過酷な環境で使用される電子機器は、周囲と干渉することなくどのようにエネルギーを逃がしているのでしょうか?こうした困難な環境や業界で採用されている研究や解決策を調査することで、Dohmann Audioはオーディオ分野ではこれまで適用されたことのない革新的な技術を開発し、極めて優れた成果を上げることができました。

Dohmann Audioのもう一つの重要な哲学は「進化」です。ポルシェの象徴的なスポーツカー「911」と同様のアプローチで、確固たる科学的原理と研究に基づいた優れた設計をまず生み出し、その後、テスト、測定、変更を重ね、新たな改善が可能になるたびに段階的な改良を加えていくのです。こうした設計の発展と完成度の追求は、Dohmannのターンテーブルを実際に体験すればすぐにその音で感じ取ることができます。また、すべての旧モデルを最新の仕様にアップグレードできるよう設計されている点も特徴です。

「Helix One Mk3」は、究極のターンテーブルシステムを創り出すという目標を掲げて設計されました。この野心的な目標を達成するため、Dohmann Audioは独自の設計機能や技術を数多く採用しています。その例として、NSM技術を活用した完全統合型のMinusK振動アイソレーション・システム、中高域の振動を逃がすように設計されたメカニカル・クロスオーバー・ネットワーク、フローティング・アームボード、Dohmann Audioの仕様に基づいてスイスで特注製造されたモーター、そしてシャーシ内部に綿密に設計された共振拡散経路などが挙げられます。ターンテーブル下段に設置されるパワーベースには、電源ユニット、新しいモーターを駆動するための制御ソフトウェア、そして特殊な高周波(RF)吸収機能が搭載されています。また、レコード交換中にターンテーブルの動きを固定するサスペンション・スタビライザーや、照明制御システム、電源フィルタリング機能も搭載しています。

研究の成果

Helix One Mk3のサウンドは、その純度の高さとリアリティにおいて、聴いた瞬間に分かるほどの際立った個性を放っています。2本のトーンアームを装着可能な仕様を備え、世界中の厳しいオーディオファイルから選ばれるターンテーブルとしての地位を確立しました。数多くの革新的な技術や独自の機構が採用されていますが、本機の真価はそれら個々の機能の総和をはるかに超えるものです。高度なエンジニアリングによって生み出された精密機器であり、音楽を解き放ち、聴き手の心を揺さぶるための完璧なプラットフォームとして機能します。レコードの溝に刻まれた音楽情報は、エネルギーと魂を伴って鮮やかに引き出されます。ターンテーブルの存在感は消え去り、音楽が淀みなく、自然に流れていくのです。音楽を堪能するための真の「リファレンス(基準)」と目されるHelix One Mk3は、あらゆるプレーヤーの中でも最高峰に位置するものとして高い評価を得ています。

Helix One Mk3 ブラック

特長

2本のトーンアームを搭載可能
最先端のカスタム設計・スイス製モーター(毎秒13万回のセンシングで速度を超高精度制御)
高度なDC電源回路を搭載したパワーベース
先進複合素材製アームボード
Micro Signal Architecture© (MSA)
負剛性機構による振動アイソレーション (NSM)
Mechanical Crossover Technology (MCT)
Tri-Modal Platter system (TMP)
エッジダンピングリング(EDR)
トーンアームダンピングシステム(TDS)
Resonance Tuned Suspension (RTS)
DLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティング・アモルファス素材ベアリング(摩擦低減仕様)
High Torque Adjustable Drive (HTAD)
高周波およびRF(電波)ノイズ吸収機能
RSA共振制御技術
レコード交換時の操作性を高めるサスペンション・スタビライザー
RSA共振制御技術採用レコードクランプ
照明制御システムおよび電源フィルタリング機能
垂直方向共振周波数 (Fz): 0.5 Hz
水平方向共振周波数 (Fz): 1.5 Hz
プッシュボタン式速度調整

仕上げ

Helix One Mk3ターンテーブルはすべて、専用設計のカーボンファイバー製トッププレートを標準装備しており、以下の仕上げから選択可能。

ブラック
スターリングシルバー
グラファイト
オーレリアン・ゴールド

仕様

操作:天板上の2つのプッシュボタンで、速度切り替えおよび電源のオン/オフを操作。

回転数:33.33rpmまたは45.15rpm(工場出荷時設定)
※78rpmやその他のカスタム回転数にも対応可能。

駆動方式:スイス製高トルクモーター使用のデュアルベルトドライブ方式。

トーンアーム対応:最大11.5インチ(292mm)までのトーンアームを2本同時に装着可能なアームボードを2基装備。一部の12インチ・トーンアームにも対応可能(詳細はお問い合わせください)。

アームボード:全てのHelix One Mk3ターンテーブルには、2基の「Mk3アドバンスド・コンポジット・アームボード」が付属。アームボードは着脱可能で、容易な交換や調整が可能。

電源仕様:100VAC、50/60Hz

寸法(クランプおよびトーンアームを除く寸法):
600mm (幅) x 480mm (奥行) x 250mm (高さ)

重量:
本体シャーシ:54kg
パワーベース:22kg
総重量:76kg

注:Helix One Mk3にトーンアームは付属していません。