- SHM (Spherical Head Model)(1) の採用
- 独自のXTC (Crosstalk Cancellation)(2)プロセス
- 自然で奥行のある3Dサウンド
- 原音に忠実な音の広がりと臨場感
- 安定したダイアログ(3)]
- Eilex PRISMによる音響パワー体積密度の補正
- TVやラップトップ、スピーカ付きPCモニタ、携帯、BTスピーカに最適
Eilex PRISM SoundSpaceTMは、小型のシステムで2-chステレオ再生時、LRスピーカの物理的間隔で制限された音に左右の広がりと高さや奥行きを加え、臨場感を与えます。PRISM SoundSpaceはTVをはじめラップトップやPCモニター、サウンドバー、BT スピーカ、更に携帯電話などに最適です。特に近年のTVは、スピーカの間隔が狭い事に加え、急速に進むセットの薄型化とデザイン重視から音響的条件が極端に悪くなり、音質の劣化が目立って来ました。PRISM SoundSpace は、その様なTVの音質改善と音場の再現に大きな威力を発揮します。(注:PRISM SoundSpaceは前方音像の3D化を図るもので、擬似サラウンドプロセスではありません。)
PRISM SoundSpaceは、Eilex PRISM音響パワー体積密度 (APVD) イコライザと3Dプロセスの二つの要素から構成されています。3Dプロセスがソースのステレオ信号を3D化する一方、Eilex PRISMはシステムの音響パワー体積密度を(自然界と同じ)フラットに近づけ、3D音質の最適化を図ります。3Dプロセスは、個人差の出やすいHRTF (4) によるものではなく、普遍的なSHM (Spherical Head Model) をベースに計算されたXTC (Crosstalk Cancellation) を行っています。(注:Eilex PRISM技術の詳細は別途ホワイトペーパを参照。)
PRISM SoundSpaceは全てのTV番組と適応性があり、ニュース、ドラマ、映画、音楽、スポーツ等と、番組が変わるごとに音のモードを切り替える必要がありません。特に、従来の3Dプロセスの欠点であった、ニュースキャスターの声や映画のダイアログが遠のき弱くなる現象は、PRISM SoundSpaceには全くありません。
さらにPRISM SoundSpaceは、スピーカが画面の下にセットされている場合、音像を画面の高さに持ち上げます。
PRISM SoundSpaceは2-chステレオソースを扱いますので、5.1-chを扱うバーチャルサラウンドと異なり、デジタル接続を必要とせず、扱えるソースが限定されません。
Eilex PRISM SoundSpace の動作(3D プロセス部分のみ)
上の写真は、PRISM SoundSpaceの3D プロセス部分の、実際の動作をアナライザで見たものです。左側はオリジナルの信号で、右側は3Dプロセスを加えたものです。
図1はモノラル信号のヒストグラム(5) で、LRは完全に同相です。図2はこれに3Dプロセスを加えたものですが、オリジナルと全く変わりません。3Dプロセスはモノラル信号に対しては、全く手を加えない事が分かります。
一方、図3はL側に極端にパンしたステレオ信号のヒストグラムで、R側にはほとんど信号がありません。図4はこれに3Dプロセスを加えたもので、かなりの強さの3D信号(X軸Y軸から外れた部分)が作られています。つまり、片側のスピーカからしか音が聞こえないほど極端にパンされたソースでも、3Dプロセスを加えると、反対側のスピーカが働いて3D音場が作られます。極端にパンされた音像は、スピーカの物理的位置よりも更に外から聞こえ、奥行感も加わります。
図5は通常のステレオ信号で、位相の重心(緑点)は正相です。図6は3Dプロセスを加えた結果で、位相は逆相側が支配的となっています(赤点)。
このように 3D プロセスは、ソースのモノラル成分(ニュース、ダイアログ、ソロボーカルなど)は真中に固定し、ステレオ成分(アンビエンス、反響音、サウンドエフェクトなど)のみを強調して、幅と高さを加え、奥行きを広げます。これにより安定した明瞭度の高いダイアログと、原音に忠実な音の広がりと臨場感がえられます。
Eilex PRISM SoundSpaceの開発ツールには、スピーカの間隔によって決る多段階の3Dのパラメータを調整する機能が付いています。Eilex PRISMと同じく、実際にプログラムを聴きながら調整を行います。
3Dプロセスと併用されるEilex PRISMは、VIRフィルタを使って、スピーカのAPVD周波数特性が、自然界と同じ、フラットに近い状態にし、3D化された音が耳に正しく聴こえるよう補正を行います。(注:3D化された音は必ずしもAPVDの完全フラットが最適ではなく、スピーカシステムによって、聴きやすい周波数特性が異なります。開発時には、実際に再生音を聞きながらEilex PRISMの補正を行います。)
注
- SHM (Spherical Head Model) は、頭の形状を球形と仮定し、立体的な音の伝播を数学的に解析する手法。必ずしも個人夫々の頭の形状にはマッチしないが、普遍的なモデルとして、個人差の少ない3D効果が得られる。
- XTC (Crosstalk Cancellation) は、通常のステレオソースの片側Chの音が反対側の耳に届き、3D効果を阻害するのを防ぐため、それを正しいタイミングで取り除くプロセス。
- ダイアログは、台詞、アナウンス、ソロボーカル等を指す。
- HRTF (Head Related Transfer Function) は、左あるいは右から届いた音が、人間の前頭部を回折して反対側の耳に届く際に現れる周波数特性。さらにHRTFは肩や上体の形状にも影響される。測定結果は使用する擬似ヘッドによって決り、個人の特性と合わない場合も多い。3Dプロセスに使うと、その効果に個人差が出やすい。
- ヒストグラムは、ステレオ信号の位相のずれの履歴を記録したもの。縦軸は、上側が完全同相、下側が完全逆相。原点から見た履歴上の角度は、信号の位相角を示し、その距離は強さを示す。