Dynamic Range Compressor
- コマーシャルの音量低減
- 音量を絞っても小さい音が聴きやすい
- 最大音量の増大
- 小型ステレオやTVに最適
Eilex Auto-Volume は、TVコマーシャルの音量を抑え、番組とコマーシャルが替るたびに頻繁にボリュームを合わせなくて済むほどの音量差に保ちます。映画やドラマでは爆発音などの大音量を抑える一方、聞き取りにくい呟きやささやきを適度に増幅し、製作者の意図する効果を損なわない範囲で安定した音量で再生します。さらにブルーレイディスク再生時の音量低下を補って、他の番組ソースとの音量差を減らします。
同じ様な目的で使われて来た従来のオートボリュームは、そのプロセスが簡単であった反面、効果が十分でない事と、動作が不安定であるなど、根本的な問題がありました。特にバンド数の少ないオートボリュームでは、短いアタック時間と極端に長いリリース時間を持たせなくてはならず、明らかな息つきや不安定感がありました。
Eilex Auto-Volumeは、従来の方式とは異なり、3バンドのコンプレッサを使った本格的なオートボリュームです。一般にコンプレッサを使ったAGC (Automatic Gain Control)はプロセス量が大きく、民生機器に使用するには無理な場合があります。Eilex Auto-Volumeは、プロセスの最適化を行なった結果、コンプレッサを使いながら、20 MIPSという小さい処理量で済ませています。
Eilex Auto-Volumeは、Eilex PRISMTM音響パワーイコライザを併用すると、音質改善を含め最大の効果が得られます。このプロセスを使うにあたって最も重要な事は、通常の音量での再生時に音響パワー周波数特性が、自然界と同じようにフラットになっている事です。そのためにまずEilex PRISMによりスピーカを含めた音響パワー周波数特性が、理想的なフラットになるようにイコライジングを行ないます。次に、通常の再生音量で最も自然で聴きやすい音になるように、低域と中高音帯域の微調整を加えます。そのようにして再生システムを音響的に理想的な状態にし、リフェレンスを作った上で、Eilex Auto-Volumeを加えます。
Eilex Auto-Volumeは、夜間の視聴時に、大音量の部分を抑え、聞き取りにくい小音量の部分を増幅して、ボリュームを上下する事なく番組を楽しむ事が出来ます。またEilex PRISMの音響パワーイコライジングにより、音量に関わらず高明瞭度が保たれます。
Eilex Auto-Volumeは、パーソナルオーデイオのような小型システムで、ダイナミックレンジを犠牲にしてでも、少しでも最大音量を増やしたい場合にも有効です。
Eilex Auto-Volumeの動作
下の2枚の写真はEilex Auto-Volumeの実際の動作を示すものです。図1はテストに使うホワイトノイズの0%から100%のフェードインで、音量はリニアに増加しています。図2はそれにEilex Auto-Volumeを加えたものです。左端の弱信号時には音量の増加が大きく、信号が強くなるにつれてそれが小さくなり音量が抑えられています。
Eilex Auto-Volumeには、強いアタック時にスパイクで飽和しないよう6dB以上のマージンが付けてあります。画面ではホワイトノイズのスパイクが飽和直前でうまく抑えられているのが分かります。
(注:アタック時間を短くすればスパイクを無くす事も出来ますが、トランジェント特性が悪くなり、音質が劣化してしまいます。Eilex Auto-Volumeではコンプレッサのアタック時間を若干長くして、故意に適量のスパイクを残してあります。このスパイクは立ち上がりだけでなく、立下りにもあてはまります。)
図3と図4はそれぞれ図1と図2の左端の小入力時の部分を拡大したものです。ここでは-15dBから-40dB辺りが画面に入っています。Eilex Auto-Volumeのかかった図4は、図3に比べて左端のスロープがかなり急峻になり、弱い信号が大幅にブーストされているのが分かります。
Eilex Auto-Volumeはどの様な信号の変化にも瞬時に対応し、安定した動作を行ないます。コンプレッサのリリースタイムはかなり短めに設定されており、圧縮が不要になれば振幅はほぼ瞬時に回復します。そのため息つきやポンピングがありません。
次に、振幅の大きい音楽ソースを故意に振幅変調した場合のEilex Auto-Volumeの動きを見てみます。音楽ソースには0dBでリミッタのかかったイーグルスのHotel Californiaを使います。図5はそのオリジナル波形です。図6はそれを周期的に-12dB減衰させたものです。図7はそれにEilex Auto-Volumeをかけたもので、12dBも差のあった振幅が3dB程度に減少しています。
同様のテストをもう少しレベルの低い位置で行なって見ます。図8は図5のオリジナルを-10dB減衰させたものです。これをさらに-12dBの周期的減衰を加えたのが図9です。図10はそれにEilex Auto-Volumeを加えたものですが、全体の音量が増加しているのに加え、周期的な音量差も減少しています。また図6と図9の間で見られた大きな平均音量差が、Eilex Auto-Volumeをかけた図7と図10ではかなり少なくなっています。
次の写真は実際の音楽を使った例です。図11はGallopと言う曲で、図13はChinese Drumsの録音です。何れも音の強弱の差が大きく、再生装置や環境によっては安定した再生が難しいものです。図12と図14はそれぞれにEilex Auto-Volumeをかけたものですが、音量の高い(振幅の大きい)部分は抑えられ、音量の低い(振幅の小さい)部分は増幅されています。一様に安定した音量で再生されますが、音楽のダイナミック感は十分保たれます。