Eilex PRISM Auto-Bass

Adaptive Bass Boost

  • 小音量時に不足がちな低音を自動補正
  • 大音量時の低音の過大振幅を安全範囲内に抑える
  • 小型オーディオや、サウンドバー、大型TVに最適

通常の音量でバランスの取れた優れた録音やそれを再生するシステムも、小音量で再生する場合、低音が不足がちになります。この現象は学術的にも証明され、多くの人が経験するものです。この問題を解決するために、1970年代にラウドネスコントロールと呼ばれる低音補償技術が考案されました。当時のラウドネスコントロールは主としてFletcher-Munsonの研究結果を基にしたもので、多くの民生機器に採用され、一時はHi-Fi機器の標準的な機能にもなりました。しかしその機能は期待外れで、そのうち忘れられてしまいました。その失敗の理由は補正のカーブの使い方が間違っていた事と、オン・オフ機能しか無く、音量に適応して動作しなかったためです。

Eilex Auto-Bassは、過去の方式とは異なり、近年の音響心理学と最新のデジタル音響補正技術を駆使して開発されたもので、正しい低音補正カーブを使用し、再生される音量に追従してアダプティブに動作します。

Eilex Auto-Bassは、スタジオで約80 Phonの音量でモニタされて作られたソースが、比較的低音量で再生される場合を想定して作られています。夜間の視聴やBGMなど小音量での再生時に、聴感上失われがちな低音を増幅して、バランスのとれた音にする事が出来ます。一方、フルボリュームでは低音の過大振幅を抑えて、スピーカの歪みやアンプの飽和を防ぎます。

Eilex Auto-Bassは、Eilex PRISM音響パワー体積密度イコライザを併用すると極めて効果的です。スピーカやアンプを含めたシステムの音響パワー周波数特性が自然界と同じフラットな状態になり、音質的にも最大の効果が得られます。

Eilex Auto-Bassは、小型オーデイオや、サウンドバー、大型TV等に最適です。

注:Eilex Auto-Bassは、低音の再生能力の無いスピーカから低音を出そうとするものではありません。従って、良い結果を得るには、小音量時に対象となるスピーカが100Hz以下をある程度再生できる事が必要です。

Eilex Auto-Bassの動作

次の三枚の写真はAuto-Bassの実際の動作を示しています。図1は通常の音量で再生される場合で、周波数特性はほぼフラットになっています。図2は-10dB音量が下がった時で、低域が中域に対してブーストされています。図3はさらに音量が下がった-20dBの場合で、低域のブースト量はさらに増加しているのが分かります。この様にAuto-Bassは信号レベルが下がるにつれて低音域のレベルを最適量連続的に持ち上げ、聴感上の低音不足を補います。

注:通常我々がボリュームを下げて聴く場合、-20dB程度の減衰が加えられています。

図1 通常の音量時
図2 -10dB音量時 (ベースブースト小)
図3 -20dB音量時 (ベースブースト大)

もちろん音楽や音声信号はこの例のように定常的なものではなく、複雑かつダイナミックに変動します。 Auto-Bassはどの様な信号の変化にも瞬時に対応し、安定した動作を行ないます。

次ページに実際の音楽再生時のAuto-Bassによる特性の変化を見てみます。一連の写真の左側はAuto-Bassのかかっていない状態で、右側はそれが効いた状態です。特性の変化がわかり易いように、特にベースのよく効いたソースを選んであります。

図4は曲のオリジナル波形です。図5はそれにAuto-Bassを加えたものですが、信号のレベルが高いため波形には殆ど変化がありません。図6は図4のオリジナルの時間軸上のある点A(後述のA点は全て時間的に全く同じ位置を示します)での周波数特性です。35Hzに高レベルの低音があり(一番左のピーク)、70Hz(二番目のピーク)にはその倍音があります。図7はオリジナルにAuto-Bassを加えた時の同じA点の周波数特性ですが、低域が若干ブースとされているものの、図6のオリジナルと殆ど変わりません。

図8はオリジナルを-10dB減衰させたものです。図9はそれにAuto-Bassを加えたものですが、振幅が若干増えています。これは主に低音の振幅が増えたためです。その周波数特性を同じくA点で見たのが図10と図11です。低域が約9dBブーストされています。(一目盛りは12dBです)
図12はオリジナルを-20dB減衰させたもので、図13はそれにAuto-Bassを加えたものです。-10dBの時と同じように振幅が大きくなっています。図14と図15を比較して見ますと、Auto-Bassを加えた図15では低域が12dBブーストされている事が分かります。

因みに、Auto-Bassは低音以外にはソースに全く変化を与えていません。

図4 通常音量(オリジナル)
図5 同左Auto-Bass有
図6 通常音量 A点の周波数特性
図7 同左Auto-Bass有 (少量の低音ブースト)
図8 オリジナルを-10dB減衰
図9 同左Auto-Bass有
図10 -10dB減衰 A点の周波数特性
図11 同左Auto-Bass有(9dB低音ブースト)
図12 オリジナルを-20dB減衰
図13 同左Auto-Bass有
図14 -20dB減衰 A点の周波数特性
図15 同左Auto-Bass有(12dB低音ブースト)